NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ホメオパスの成功体験が悪性リンパ腫を見落とさせた

リスクの大きさの感じ方は、代替医療に親和性のある人との間に大きな隔たりがあるようだ。新生児にビタミンKを投与しなければ、頭蓋内出血等で死亡する確率は2000〜4000分の1である。私を含めて、ほとんどの医師は、無視できないリスクと考えるだろう。だけ…

アナフィラキシーショックをホメオパシーで治した!スゴイでしょ!

「nina's[ニナーズ]」という雑誌にホメオパシーの体験談が載っていると聞いて、購入してみた(2010年9月号[平成22年8月7日発売])。子育て中の女性をターゲットにした雑誌のようだ。UA(ウーア)という女性シンガーソングライターが表紙で、UAさんのインタ…

脳の中の「わたし」

■脳の中の「わたし」坂井克之著, 榎本俊二著。 脳研究者による本。「脳科学」は、一部の脳科学者のために、いささか怪しい分野であるように見えるが、この本は大丈夫だ(と私は判断した)。私は未読であるが、著者の坂井は、「脳トレ」や「ゲーム脳」などの…

ホメオパシーの有効な利用法

ホメオパシーのレメディは実質的に砂糖玉と一緒で、薬理的な効果は何もない。にも関わらず、というか、だからこそ、診療でレメディが使えたら、結構便利だろう。いくらでも使いようはある。たとえば、 薬に抵抗のある人に 「ワクチンは嫌」「ステロイドって…

ホメオパスになるためのコスト

ホメオパシーによる被害者は、レメディによる治療を受けた人だけではない。ホメオパス自身も被害者となりうる。ホメオパシージャパンの関連団体にホメオパスを養成する学校がある。学長は由井寅子氏だ。 ■ホメオパシー統合医療専門校 カレッジ・オブ・ホリス…

ホメオパシーについて朝日新聞が詳報

本日(2010年8月5日)、朝日新聞が、紙面およびウェブにて、ホメオパシーについての記事を掲載した。まず、ウェブ版をリンクする。 ■asahi.com(朝日新聞社):「ホメオパシー」トラブルも 毒薄め妊婦や乳児に処方 - アピタル(医療・健康)*1 紙面のほうは…