NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

カラフトシシャモのオスは美味い?

  ,j;;;;;j,. ---一、 `  ―--‐、_ l;;;;;; 
 {;;;;;;ゝ T辷iフ i    f'辷jァ  !i;;;;;  シシャモにはオスが無い・・・ 
  ヾ;;;ハ    ノ       .::!lリ;;r゙ 
   `Z;i   〈.,_..,.      ノ;;;;;;;;>  そんなふうに考えていた時期が 
   ,;ぇハ、 、_,.ー-、_',.    ,f゙: Y;;f.   俺にもありました 
   ~''戈ヽ   `二´    r'´:::. `! 

うちでは朝食にシシャモをよく食べる。もちろん、北海道産の本シシャモではなく、普通にスーパーで売っている安い輸入物である。カラフトシシャモとか、カペリンとか呼ぶらしい。本シシャモの代用品であるとのことだが、カラフトシシャモでも十分にうまいと私は思っている。というか、本シシャモを食べたことがない。

近所のスーパーで売っているカラフトシシャモは、メスばかりだった。いわゆる子持ちシシャモ。もちろんカラフトシシャモも生物なのでオスはいるだろうが、食用として流通しないものと思っていた。いつぞや水族館に行ったときに、アシカだかオットセイだかに餌をやっていた飼育員さんも、人が食べない安価なシシャモのオスを使用していると言っていた。Wikipediaにも、カラフトシシャモの雄が食用として市場に流通することは稀であると書いてある。


■カラフトシシャモ - Wikipedia


本家のシシャモの雄は、淡泊な味わいがあることから市場にも流通するが、カラフトシシャモは100%メスで、いわゆる「子持ちシシャモ」として流通する。カラフトシシャモの雄はペットフード等の加工品に回るほか、水族館における海獣類への餌などに使用され、日本では食用として市場に流通することは稀である。


しかし、先日、妻が産直市場的なところで安く買ってきたシシャモは「100%メス」ではなかったのだ。1パック目に入っていた6〜7匹はすべてオスで、メスは1匹もなし。あまり美味しくなかった。そういえば、シシャモを焼いたときには必ず「寄こせ」と言ってくる猫も反応しなかった。1パック目の包装は捨ててしまったのでどのような記載がしてあったのか検証できなかった。なんとなく騙されたような気になったが、おそらく「子持ちシシャモ」と明示していたわけでもなかったろうから騙されたとは言えない。

2パック目の記載を見てみたら、ちゃんと「カラフトシシャモ(オス・メス)」と書いてあった。320g(あとで数えたら20匹だった)で195円。普段のスーパーで売っているシシャモと比較してもずいぶんと安い。邪推ではあるが、普通に流通するカラフトシシャモのメスを選別した残り物である可能性を考えた。100%正しく選別できるわけではないだろう。だとすると、選別後の残り物には若干であるがメス(おそらくは卵の量が少なくオスと誤認されやすい個体)が混入しているはずだ。それならば、「カラフトシシャモ(オス・メス)」と書いても嘘にはならない。





熟成カラフトししゃも。

心なしかカラフトの字が小さい。




カラフトシシャモ(オス・メス)

赤線は引用者による。


「カラフトシシャモのメスを選別した残り物を売っているのであろう」という仮説は検証可能である。もし仮説が正しいのなら20匹のカラフトシシャモの性比はオスに偏っているはずだ。というわけで、3日間かけて数えてみた。雌雄判定は卵を持っているかどうかで判断した。もしかしたら、卵を産んだ後のメス(そういうものが混入する可能性があるとして)を誤判定するかもしれないが、食用にあたって子持ちか否かが重要であると考えるのでとりあえずこれで良しとした。





ちなみに、この日はオス2匹メス5匹であった。


計測の結果、合計20匹中、オス6匹メス14匹であった。特にオスが多いというわけではなく、むしろややメスが多かった。オスメス食べ比べてみたが、別にオスの味が劣るというわけもなかった。どちらも普通のスーパーに売っているシシャモぐらいには美味しい。邪推して正直すまんかった。





猫も来た。「寄こせ」。


1パック目の美味しくないオスシシャモとの違いが何に由来するのかはわからない。1パック目がとくにまずかったのであろうか。それとも2パック目はオスシシャモでも美味しく食べられるように上手に加工してあったのだろうか。これだけの味なら、別にメスだけ選別する必要はなかろうと思った。「かわいそうに。本物のシシャモを食べたことがないんだな。本物のシシャモをご馳走しますよ」という人はコメント欄かメールで。本シシャモはオスでも美味しい、いや、むしろオスのほうが美味しいと聞いた。一度食べてみたい。


カラフトシシャモは尾びれ尻びれで雌雄が区別できるという。なるほど、よく見たら違いがある。





赤丸で囲んだ上がオスで下がメス。


楽天でオスのカラフトシシャモが売っていた。値段に明らかな差がある。1尾あたりだと、本シシャモ166円、カラフトシシャモ(オス)約12円。カラフトシシャモ(メス)約30円であった。





「雄のカラフトシシャモの美味しさを知っていましたか?」

とあった。


Wikipediaのカラフトシシャモの項は書き換えられるべきかもしれない。