NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

ホメオパシーについて朝日新聞が詳報

本日(2010年8月5日)、朝日新聞が、紙面およびウェブにて、ホメオパシーについての記事を掲載した。まず、ウェブ版をリンクする。


■asahi.com(朝日新聞社):「ホメオパシー」トラブルも 毒薄め妊婦や乳児に処方 - アピタル(医療・健康)*1


紙面のほうは、見出し、及び、記事の一部が異なる。紙面はこんな感じ。





代替療法 乳児トラブルも


記事の内容は、ほぼ文句のつけようがない。7月上旬に各助産師が提訴されたことを各紙が伝えた記事では、「自然療法」とだけあって、「ホメオパシー」という言葉はなかった(後に読売新聞は7月31日の解説記事で「ホメオパシー」について言及した)。本日の朝日の記事では、記事見出しに明確に「ホメオパシー」と書かれている。「推進団体の日本ホメオパシー医学協会」と、団体名を明確にしたことも評価する。これまでの報道では、「予防接種などを否定する傾向の強い普及団体」「自然療法を提唱する民間団体」「自然療法の普及に取り組む団体」などとされ、団体名は明記されていなかった。

英国議会が保険適用の中止を求める報告書を出したこと、日本助産師会が主催でホメオパシーの講演会が行われたことは、7月31日の読売新聞の解説記事でも触れられた。今回の朝日新聞の記事では、それに加え、「豪州では、重い皮膚病の娘をレメディーのみの治療で死なせたとして親が有罪となった例や、大腸がんの女性が標準的な治療を拒否して亡くなった例」について述べられてある。また、長妻昭厚生労働相がホメオパシーについて研究に積極的な発言をしたことも言及している。

朝日新聞は、助産師が提訴された時点では記事にしなかった。推測だが、朝日新聞は助産師が提訴された時点でも取材を行っていたが、第1回口頭弁論を待って記事にしたのであろう。時間をかけただけあって良質な記事になっている。一般読者や新聞記者にとって、ホメオパシーはあまりなじみがない代替医療であるから、十分な情報を集めてから記事にするという選択も合理的である。今後、毎日新聞および読売新聞にも、詳細な記事を期待したい。

ついでながら、私の把握している範囲で、時系列順にマスコミの記事を紹介する。以下は適宜追加するかもしれない。また、漏れがあればコメント欄等で教えていただければ幸いである。


7月10日

*1:後に『「ホメオパシー」トラブルも 日本助産師会が事態調査』に見出しが変更されたようだ

*2:URL:href=http://mainichi.jp/life/edu/child/news/20100710ddp012040012000c.html