NATROMのブログ

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阿久根市の竹原信一市長を「ブログ市長」と呼ぶのはやめて欲しい

鹿児島県阿久根市の竹原信一市長のブログの、「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている」という記述が問題になっている。障害者団体が批判するも、竹原市長は謝罪拒否を続けている。以前、阿久根市長のブログについては、■遺伝子工学で生産された人間豚の高級肉@阿久根市長ブログで取り上げたことがある。最近では、「NATROMの日記」のアクセス解析で、「阿久根市長」や「人間豚」が検索ワードの上位に上がっている。

竹原信一市長は、「ブログ市長」と呼ばれている。今回の差別的発言のみならず、市長選挙において、「公職選挙法に抵触するおそれがある」と選挙管理委員会から注意された後も、ブログを更新し続けたことにも由来している。ウェブサイトの更新は公職選挙法では禁止事項にあたるとされており、選挙期間中は更新を自粛するのが一般的である*1。有権者の立場から言えば、誰に投票するのか決める上で、ブログやTwitterから得られる情報には価値があるように思える。インターネットによる選挙運動の欠点については、■ネット選挙 - Wikipediaにも述べられており、単純な問題ではないのだろうが、少なくとも考慮に値すると考える。

正直なところ、竹原「ブログ市長」を、私は最初はわりと高く評価していた。選挙管理委員会から注意されてもブログ更新を続けたのはややマイナス点ではあるが、ブログで自分の意見を広く公表するのはプラス点である。少なくとも、選挙カーで名前をがなりたてる選挙運動と比較すればずっと素晴らしい。たいへんに残念だったのが、選挙運動にブログを利用した先駆者が、「人類を家畜のごとく扱う世界の支配者層には特別な遺伝子がある」などと書いちゃう人だったことである。本当に残念だ。

ブックマークコメントなどで既に何人もの人が指摘しているが、竹原市長を「ブログ市長」と呼ぶのはやめて欲しい。政治家がブログで情報をガンガン発信し始めたら相対的に価値の下がってしまうマスコミが、ブログにネガティブなイメージを与えようとして、わざと「ブログ市長」と呼んでいるんじゃないか。まあ、いくなんでもこれは邪推であろうが。邪推ついでに陰謀論を言うと、ブログを選挙運動に使用されては困る支配層が、マスコミ、障害者団体および竹原市長を操っているというのはどうか。竹原市長も傀儡に過ぎなかったんだよ!!

*1:「総務省の公選法解釈がおかしい」 選挙期間中ブログ更新の市長候補が当選(J-CASTニュース)URL:http://www.j-cast.com/2008/09/03026220.html