NATROMのブログ

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福島県の医師は足りている

読売新聞に、福島県が緊急の医師確保素案を示したという記事が載った。


■(地域>福島 )民間の医師、公立に派遣(読売)


 県は19日、緊急の医師確保策として、民間病院から公立病院への医師派遣などを盛り込んだ「緊急医師確保対策プログラム」の素案を県地域医療対策協議会で示した。県立医大などでの医師養成を待っていられないとして、素案をたたき台に具体策の議論を始める。厚生労働省によると、同様の医師派遣は岡山県で行われているものの、全国的には珍しい。
 素案によると、これまで県立医大などがへき地を含めた医療機関へ行っていた医師派遣ネットワークの派遣元に、開業医を含めた民間病院を加える。診療科は、医師不足が顕著な救急や産婦人科などについて重点的に検討していく。
 県によると、県内の人口10万人あたりの医師数(2006年)は3663人。人口換算すれば、全国平均より医師が600人不足している。特に産婦人科は深刻で、2008年には県立南会津病院で2人の医師が退職し、同科は一時休診となった。


強調は引用者による。福島県内の人口10万人あたりの医師数は3663人とのこと。1000人あたりにすると約36人である。さて、経済協力開発機構(OECD)に加盟している国での人口あたりの医師数の統計はよく言及されている。赤旗より引用*1


■日本の医師数 主要国最下位 OECD調査(しんぶん赤旗)


日本の人口千人当たりの医師数は二・一人(二〇〇六年)で、経済協力開発機構(OECD)に加盟している三十カ国中二十六位であることが、同機構がまとめた「ヘルスデータ二〇〇八」でわかりました。OECD平均の三・一人を大きく下回っています。主要七カ国ではカナダと並んで最下位です。


分かりやすいように、しんぶん赤旗のグラフを改変してみた。





圧倒的じゃないか、福島県は


m3.com経由のネタでした。


※3663人とは「県内の人口10万人あたりの医師数」ではなく、「県内の医師数」と思われる。

*1:赤旗から引用したのは、たまたま見やすいグラフがあったため