NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

逆檻の原理


■ぁゃιぃ(*゚ー゚)NEWS 2nd 猫と暮らす知恵


猫と暮らすようになって刺身を食べる時は立って、
ひどい時には逃げ回りながら食べるようになりました。
「ケージを使えばいいのに」と友達が教えてくれたので、今度買ってこようと思います。
ケージの中なら猫に気兼ねなく食べられますね。


ローレンツの逆檻の原理を思い出した。動物行動学者のコンラート・ローレンツは、さまざまな動物を出来る限り放し飼いにしていた。動物を閉じ込めていては自然な行動を観察できなくなるという科学の方法論の問題もあったが、なによりローレンツは動物を愛しその自由を尊重していたのだ。ローレンツ家では、普通とは逆に、檻の金網は動物が逃げ出すのを防ぐためではなく、家の中や花壇に入ってくるのを防ぐためにあった。



「逆檻の原理」のいちばんけっさくな応用は、私の妻の発明にかかるものである。それは私たちの長女がまだ小さかったころのことだった。そのころ私たちは、大型で相当に危険な動物たち―数羽のワタリガラス、二羽のオオバタン(大型のオウム)、二匹のマングースキツネザル、それから一匹のオマキザル―を飼っていた。この連中はとくにワタリガラスはあぶなくて、とうてい子どもといっしょにしておくわけにはいかなかった。妻はさっそく庭に大きな檻をつくって、その中へ入れた。―動物ではない、私たちの娘をである。(ソロモンの指環―動物行動学入門、P15)


Wikipedia*1にも載っている有名なエピソードだ。この檻に入れられた娘が、成人して生物学系の学者になったという話を、日高敏隆あたりが書いていたような気がするのだが、本棚をひっくり返して探してもその記述を見つけることができなかった。エントリーのタイトルを「檻の中の幼女」としたらアクセス数が稼げるかもしれんと考えたが自重した。