NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

マクドナルドはエサだけど

今年の夏休みのことである。市営地下鉄で「ちかまるきっぷ」なる「小学生が地下鉄1日乗り放題で100円」となる乗車券を売っていた。これだけでもかなりお得感があるのだが、さらに「マクドナルドハンバーガーの無料引換券」がついてくるのだ*1。たしかハンバーガー1個80円ぐらい。どう考えても赤字覚悟。ハンバーガー以外の商品や、保護者の分の売り上げも期待しているのであろう。加えて、小学生のうちにマクドナルドの味を覚えさせようとする企業戦略に違いない。少々赤字であっても、マクドナルドの味を覚えた小学生が成長して、将来、商品を購入するようになれば良いわけである。味覚と食文化の破壊者め。そう憤りつつ、こないだ食べたてりやきマックバーガーはうまかったなあと思うのだ。たまにはジャンクフードを食べたくなることもあるだろう?当直の深夜に食う焼そばU.F.O.など、異様にうまいゾ。ssdさん曰く「マックはエサ」。その通り。だが、それがいい。

回転寿司の客はケージ飼いの鶏そのもの」というinoueさんの意見に対してもコメントしたい。回転寿司を食べるのは実のところかなり知的な行為である。その店のラインナップを見てまずは大まかなコースを想定し、時には回っていないネタを注文するというオプションを検討しつつ、満腹度によって微調整しつつ皿を選ぶのだ。特に学生の頃は使える金額も制限されるため、安い皿をうまく使って満腹感を演出しなければならない。同じ店、同じ予算であっても、戦略次第で食後の満足感は大きく異なるであろう。しょぼい回転寿司では、楽天の監督に就任したての野村監督の気分を味わえる。

加えて、回転寿司は、私の知る限りにおいて、すべてが禁煙もしくは分煙である。せいぜい、入り口の近くを通るときにタバコの臭いがすることがあるぐらいで、皿が回っているところに煙は来ない。喫煙者の隣で中途半端な寿司屋の寿司を食べるぐらいなら、回転寿司のほうがずっとマシである。また、寿司の美味しさの大半はネタで決まるのであって、機械が握ったシャリの上に乗ってたってうまいネタはうまいのだ。地方の回転寿司は、安くネタを仕入れることができるためか、やたらにうまいことがある。唐津の回転寿司はうまかった。

マクドナルドも回転寿司もエサである。吉野家の牛丼もコンビニ弁当もエサだ。だが、エサを食べずにすませられるほど贅沢な現代人はほとんどいない。たまに食べる分は別に体に害があるわけでもないし。たまにはえさでもいいじゃないか、げんだいじんだもの。


「酔処・喰処 えさ」(本文と写真は無関係です)

*1:URL:http://subway.city.fukuoka.jp/cgi-bin/blog/tpd.cgi?gid=10152