NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

中の人などいない!


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■変な学術研究 1 (ハヤカワ文庫) エドゥアール・ロネ (著), 柴田 淑子 (訳)

妻が買ってきた。「ハトによるモネとピカソの絵画の鑑別」「1998年サッカー・ワールドカップ大会でフランスが優勝した日における、フランス人男性の心筋梗塞による死亡率の減少」「トーストの転落―マーフィーの法則と基本的定数」などのユニークな科学論文についてのエッセイ集。扱う論文の分野は医学、物理学、化学、社会学や経済学まで幅広い。一部、イグノーベル賞とかぶる。54ものエッセイがあって、面白いのもあればそうでないものもある。

その中の一つを紹介する。チアリーダーやスポーツチームの動物マスコット(日本ならトラッキーやドアラなど)の負傷について。チアリーダーはサッカーやバスケットボールの選手よりも負傷の総件数は少ない一方で、より重症になる割合が高いそうだ。動物マスコットについても、怪我が多いとのこと。そういやバク転とかしているから、怪我もするであろう。また、動物マスコットにおいて怪我よりも深刻なのは高熱である。約4分の1のマスコットが、脱水により点滴を受けたことがあるそうだ。競技場のマスコットが高熱によって健康被害を受けているのなら、遊園地のマスコットもそうなのか?


アトラクション・パークでも大勢のマスコットが働いているが、やはり負傷が多いのだろうか?イギリスの週刊誌《ニューサイエンティスト》の記者がこの問題に注目して、ディズニーランド・リゾート・パリに調査に出かけた。しかし、質問されたスポークスマンはこのように答えたというのだ。「当園にはマスコットなどはいません。ミッキーは人間ではありません。ミッキーです」。(P100、強調は引用者による)

ディズニーランドかっこよす。