NATROMのブログ

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柳生すばる先生コミケへ行く

「理系保守」紫藤ムサシ先生の正統なる後継者、我らが柳生すばる先生が夏コミへ行ったそうです。すばる先生は一見したところ、維新政党・新風を応援する「新風連」に加盟してたりして右寄りの思想を持っていると思われがちです。しかし実のところは右傾化した日本を憂いてあえて極端な行動をとっているのは、■獅子身中の虫というエントリーで論じた通りです。

さて、すばる先生がコミケに行かれた理由は、「『現代の若者はこんなものに夢中になっている!』ということが分かれば・ことの良し悪しは別にしてこれからの政治を考える上で何らかの足しにはなる」と書いてあります。しかし、先生の真意は別のところにあります。すばる先生の表の顔は右寄りの思想を持ち、極右政党を支持するブロガーです。そのブロガーがコミケおよびオタクを批判したらどうなるでしょう?進化生物学の誤用ぐらいなら興味を持つのはごく一部の理系の人たちだけなのに対し、コミケの的外れな批判ともなればより多くの人に右翼・保守思想に悪い感情を持ってもらうことが可能になります。さて、具体的にすばる先生のエントリーを眺めてみましょう。


■「コミケ」マンガよりヲタク・フェスティバル?(Empire of the Sun太陽の帝国)


 ”ヲタク”というイメージは引き篭もるイメージがあるのは分かっていた

 やはり「その通り」であった(笑)。

 出展者に10人以上話しかけたが、ほとんど肝心なことには答えてくれない・・・笑

 「税務署ではないよ・・・」

 と言ったが口は重い。

 周りが騒がしいので、ついつい怒鳴り声のようになってしまうのも影響しているのだろう・・・



憤ってはいけません。すばる先生は本気でそう言っているわけではないのですから。すばる先生の真の目的は、「肝心なことには答えてくれない」だけでオタクを引き篭もり呼ばわりする馬鹿右翼を演出することにあるのです。



 2)は「文化が無い」ことである。

 「ヲタクは文化!」と最近は輸出文化の1つにも数えられているようだが

 拙者が見たところ

 文化と言われるような斬新でユニークなマンガを描いている人(サークル)は1人も居なかった。

 マンガの無限の可能性については一家言ある拙者であるが

 一般社会から隔離された”ヲタクに閉じ篭る”状態からは新しい文化は生まれないと思う。


ほんの一部を見ただけで「斬新でユニークなマンガを描いている人(サークル)は1人も居なかった」などと断言できないことなど、賢明なすばる先生は言われなくてもご承知です。あえてオタクを敵に回すように、そして自分の理解できない文化を認めようとしない狭量な馬鹿の思想が多くの人に嫌われるようにわざと書いているのです。ちなみに、紫藤ムサシ先生のころは素晴らしい絵を毎回披露してくださったのですが、残念ながらアーカイブにも残っていません。残念です。

その他、運営会社にも的外れなイチャモンをつけています。そのかいあって、さまざまなブログで言及されています。まじめな批判については、たとえば、id:bebebeさんによる■コミケ(べべべのべ)をご参照ください。コメント欄も炎上と言ってよいでしょう。魚拓のログなんてすごいことになっています。すばる先生の計画通りです。コメント欄を閉じたタイミングと削除警告!も見事です。コミケ参加者をカルト呼ばわりまではじめました。問題を可能な限り大きくしてやろうとする強い意図と優れた知性が感じられます。

あまりにも演技が見事なので、柳生すばるはただの馬鹿右翼に過ぎないのではないかと疑う人もいるでしょう。特に、今回のコミケ批判からすばる先生を知った方はほとんどがそう思うのではないでしょうか。しかし、よく考えてみてください。柳生すばるがただの馬鹿右翼で、考えなしにコミケ批判をしたと仮定すると理屈に合いません。オタクも選挙権を持っているわけですので、ネット上で特定の政党を応援するような人が軽々しくオタクを批判するなんてことがありえるでしょうか。いくら馬鹿でもそれくらいはわかるでしょう。

すばる先生が自分で言っているように、コミケには数十万人もの参加者がいるわけです。コミケを好意的に考えている人を含めるともっと多いでしょう。また、コミケに参加するようなオタクは、ネットにも親和性が高いと思われます。本当にすばる先生が維新政党・新風を応援しているのであれば、オタクを「個人主義の最悪の姿」「カルトの信者」呼ばわりすることはありえないのです。次の選挙の際、多くの人たちが「維新政党・新風を応援していたネット右翼」を思い出すでしょう。最低限の知性さえあれば、すばる先生の今回のエントリーが維新政党・新風に不利に働くことぐらいは理解できるはずです。オタクを批判したいのであれば、別の名前でブログをつくればいいだけです。

あえてすばる先生がコミケ、およびオタクを批判し、それが話題になるように振舞うのは、隠れた真意があるからに他なりません。言論の自由を優先させると言いつつ、自分に不都合なコメント・トラックバックを削除するという一見矛盾した行動も、隠れた真意の存在を考慮に入れれば合理的な説明ができます。私は、極右政党のイメージを悪化させるために手段を選ばないすばる先生を応援しています。