NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

未来さん(kirara2020Aさん)のアカウントが削除されました。

2018年6月9日8時10分の時点で、kirara2020Aさんのツイッターのページにアクセスしようとしても「このページは存在しません。」としか表示されません。いわゆるブロックではなく、アカウントが削除されたようです。kirara2020Aさんに対しては、

  • 『「アジュバントを含有していない」ではなく 「アジュバントは含有していないがVLPは含有している」 と記載しなければ虚偽になります』とkirara2020Aさんは主張しているが、VLPに言及していないアジュバントのみの言及では虚偽にはならない。ごく基本的な論理の問題だ*1
  • 「抗原を含んでいる全てのワクチンについて話しているではありません。VLPについてです」とのご主張だが、そもそもエイムゲンがVLPを含有しているという情報を見つけられない。「エイムゲンがVLPを含有している」というソースを提示してください*2
  • 「抗原を含んでいないワクチンは存在しません」という私の発言から、「HPVワクチンが従来のワクチンと同じ作用機序だと誤った認識されていることに驚く。 これまで出会ったHPVワクチン推進派医師は作用機序を知らない」と評価しているが、「すべてのワクチンが抗原を含有している」ことと「すべてのワクチンは同じ作用機序である」ことは異なる*3

と指摘しましたが、お答えがないまま、アカウント削除ということになりました。

実際のところ、エイムゲンには一般的な定義で言うところの「ウイルス様粒子(VLP:Virus-like Particles)」は含まれていません。エイムゲンに含まれているのは全粒子不活化ウイルス抗原です。そもそも、kirara2020Aさんの最初の主張である

「エイムゲンにはT細胞を活性化するウイルス様粒子VLP(KRM003)が入っているではないですか」

という主張からして間違っていたのです。「エイムゲンにはVLPが入っている」という誤った認識に基づいて、kirara2020Aさんは私に対して「虚偽情報を流布し続けて訂正もされず…。偽医学の著者が国民を騙し続けて大丈夫ですか?」などと仰っていたのです。「エイムゲンがVLPを含有しているというソースを示せ」という私のツイートをきっかけに、ご自分の誤りに気付いたのではないかと期待しています。

ついでに申し上げますと、よしんばエイムゲンがVLPを含有していたとしてもアジュバントは含有していませんので、「エイムゲンはアジュバントを含有していない」という命題は虚偽ではありません。

「これまでの使用実績から安全だと考えられているA型肝炎ワクチンですら数%もの重篤な副作用を引き起こしうる危険なものだとしたら、すべてのワクチンについても危険であると考えなければなりません。このような考え方は反ワクチンとみなしていいと考えます」と述べたことに対して、kirara2020Aさんは

「抗原を含んでいる全てのワクチンについて話しているではありません。VLPについてです。話を逸らさないで下さいね」

と述べました。この時点では、kirara2020Aさんは、「私はワクチン全体ではなくVLPについて問題にしているがゆえに反ワクチンではない」とご認識していたのでしょう。しかしながら、エイムゲンがVLPを含有していないことを知った時点で、ご自分の主張が反ワクチンに他ならないか(「VLPもアジュバントも含有していなくてもA型肝炎ワクチンは危険」)、もしくは、数%という高い重篤な有害事象はワクチンと因果関係がないことをお認めになるしかない、ということにお気付きになったと期待しています。

kirara2020Aさんは、ごく基本的な論理やVLPについての情報についてご存じないまま私を批判したのですが、それはまあいいでしょう。しかし、HPVワクチンに批判的な論者でkirara2020Aさんに注意を促す人はいなかったことを記録しておきます。とくにsivadさんは、「抗原を含んでいないワクチンは存在しない」という事実の指摘から、私の言ってもない「HPVワクチンが従来のワクチンと同じ作用機序だ(なとろむは誤って考えている)」というkirara2020Aさんの間違った認識に乗っかって、「(なとろむは)免疫学の基礎も知らないのかもしれませんね」*4などと述べています。sivadさんも上記したごく基本的な論理をご存知ないか、あるいはkirara2020Aさんの誤りを承知した上で知らない振りをしたか、あるいは経緯もまった把握せずに単にNATROM批判に乗っかったのかの、いずれかであろうと思われます。反論があるなら、ウソを言い続けても批判されにくいツイッターではなく、可読性が高く字数制限のないところでなら、議論に応じます。「信者さんしか見ないようなコメント欄はお断り*5」ということであれば、sivadさんのブログのコメント欄でもいいですよ。