NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

安くて美味い生協食堂

なんだか医療関係の話ばっかり書いているので、たまには日常のことを書く。私の母校には生協食堂があり、これがなかなか安くて美味しいのだ。ウェイターなどおらずセルフサービスである。食事はまず安全で栄養バランスがとれていること、その次に美味しさであって、サービスはあったほうがいいに決まっているが絶対に不可欠というものではない。高くてもいいというならともかく、コストを削るならサービスが低下するのも当然だ。最近では、「サービスがなっていない」「フランス料理がメニューにない」などと文句をつける馬鹿もいるらしく、食堂のおばちゃん達もたいへんであろう。

お昼どきなどは混雑が著しく、写真のように「カバン等での席取りは混雑をひどくします。席はゆずりあいましょう。」という注意書きが掲げてある。混雑を改善するには増築し、職員を多く雇えばよい。しかしこの解決法は「お金がかかる」という欠点がある。いま現在の混雑具合を見るに、お金をかけてでもなんとかすべき時期のはずなのだが、大学当局はそのつもりはさらさらないらしく、それどころか食堂の席数を削減する計画があるとか。たしかに財政は裕福とは言えないのではあるが、それでも無駄な建物などいっぱい作っているように見えるのに、お金のかけどころを間違っているとしか言い様がない。

大学当局に言わせると、昔と同じように弁当を持ってこいということらしい。大学当局がアンケートをとったところ、6割近くが手作りのお弁当がいいと回答したという。そりゃ、手間暇かけた弁当のほうが生協食堂の昼飯よりいいに決まっている。食堂の席数を削減する言い訳にするためのアンケートである。手間暇かけて弁当を作れる人はいい。しかし、現実的にはそのような余裕のある人は少数である。アンケートを取るなら希望ではなく可能かどうかを聞け。

噂を聞くに、ナントカ改革会議とかいう外部の団体が生協食堂の改築について口出ししているらしい。ナントカ会議とやらのメンバーはコンビニや外食関係者ばかりで、肝心の生協食堂の関係者は1人もいないそうだ。彼らが言うには、生協のやり方は無駄が多く民間に任せればもっと効率的になるとのこと。だったら何で生協食堂のほうがそこらのファミレスより安いんだよ。

学生の中にも、レストランが進出してきたらサービス向上になると無邪気に信じている連中がいる。生協食堂にフランス料理がないとか言うのと同じ連中だ。もちろん、サービスは向上するさ。しかし、値段は高くなる。大学の外で飯を食ったことがある人なら誰でもわかる。そのうち、貧乏学生は生協食堂に並んでも昼飯を食べられなくなる時代が来る。