NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

進化論

「少子化は回復する」数学的証明、続き

書かれていない要旨を読み取るのが上手な紫藤ムサシさんの ■「少子化は回復する」数学的証明(科学で政治・社会を考える:論理政治科学研究室) に対して、批判的なエントリーを行ったところ、お返事があった。 ■バカにつける薬(科学で政治・社会を考える:…

われわれはロボットか?

松岡正剛の千夜千冊で、リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」が取り上げられていた(id:osamu_honmaさん経由)。まあ細部に関してはいろいろと言いたいことがあるけれども、よい書評だと思う。ここでは一点だけ指摘しておこう。 ■松岡正剛の千夜千冊…

「少子化は回復する」数学的証明

なかなかすごいブログを見つけたよ。「エセ科学・学問」を検証し、告発するサイトであるところの、科学で政治・社会を考える:論理政治科学研究室。ブログ主の紫藤ムサシ*1さんは、左翼嫌い・フェミニスト嫌いという点では、”インテリジェントデザイン理論(…

産経でインテリジェント・デザイン説が紹介される

■「反進化論」米で台頭 渡辺久義・京大名誉教授に聞く(産経Web)まあ読めばわかるけれども、概ねID説(インテリジェント・デザイン説)に肯定的である。政治的に右よりの人から見たら、ダーウィン進化論は共産主義とお友達のように見えるのだろうか。進化論…

遺伝子の情報技術はデジタルである

ドーキンスの「遺伝子の川」を引用し、200字以内で答えさせる問題を発見した。全文引用するの何なので、下記リンク先を参照のこと。■読むとは、思い出すことなりぃ、とかね。 (■超私的脳戸より)「2001年大分医科大学医学部看護」とあるので、実際に出た問…

自由は進化する

■自由は進化する ダニエル・C・デネット (著), 山形 浩生 (翻訳) ダーウィン進化論に反対する人たちの言い分の中に、ダーウィン進化論は道徳を破壊する、というものがある。ヒトが神に似せて造られた創造物ではなく、突然変異と自然選択によって進化してきた…

Flying Spaghetti Monster説を子供たちに教えよう

■地球温暖化と海賊(医学都市伝説)経由。まあよくありがちな主張として、「学校では進化論と創造論の両方を教え、どちらを信じるかは生徒自身によって決めればよい」というものがある。一見、公平な提案のように見える。実際、アメリカ合衆国のキリスト教保…

彼らが批判する理由はなんだろう?

■システム論と原子論(championの雑感) システム論は、原子論を一般化した概念だといえるだろう。逆にいうと、原子論は、システム論の特殊な形態である。なぜなら、原子論は均質な要素しか考えないのに、システム論は多様な要素を考えるからである。 その意…

出生率低下は利己的遺伝子によって説明できるか

ダーウィン進化論は、さまざまな生物の行動を理解する助けになるが、人間の行動をダーウィン進化論だけで説明できるとは限らない。というか、人間の行動すべてをダーウィン進化論だけで説明できるわけがない。学説にはそれぞれ適用範囲というものがある。人…

バナナを語るドーキンス

ブライト経由。リチャード・ドーキンスのサイトってのもちゃんとあるのだが(参考:The Current Simonyi Professor: Richard Dawkins)、そこのFAQが面白い。いや、厳密にはFAQではなく、そのページの下の方にあるInfrequently asked questions(めったにな…

利己的遺伝子はまったくのフィクションなんだって

■ヒトはなぜするのか WHY WE DO IT : Rethinking Sex and the Selfish Gene ナイルズ・エルドリッジ (著), 野中 香方子 (翻訳)まだ未読なんだけど。アマゾンによる「出版社 / 著者からの内容紹介」から引用 ドーキンスの「利己的遺伝子」はまったくのフィク…

こうして僕は恐竜時代を旅するようになった

■ 「恐竜から鳥へ」進化ゲーム*1恐竜博2005にやってきた、なにげに「系統図」なんて言葉を知っている少年。特に理由もなくタイムスリップして恐竜の時代に迷い込んでしまった。元の世界に戻るため恐竜とのクイズバトル(注:間違っても別にペナルティはない…

野球拳に意識の進化を想う

ニコラス・ハンフリーは、その著書、■内なる目―意識の進化論の中で、人の意識は自分と似た他者の行動を理解するために進化したのかもしれない、という仮説を展開している。 もし、意識がそもそも何かに対する解答であるとするなら、それは人類(おそらくは人…

進化論のみ教えているのは日本だけ?

日本以外の先進国では。創造論と進化論と同じカリキュラム数教えています。 http://nexus.way-nifty.com/diary/2005/02/0201_.html#c1518141 欧米の教育では、創造論と進化論は同じ時間数教えることになっているそうですが、そうしますと科学者も含めて80…

進化論を疑うステッカーは憲法違反

以前、「生物の教科書に進化論を疑う但し書きをつけろ」というアメリカ合衆国コッブ郡の教育委員会の決定に、保護者が提訴したことを書いた。その続報。 ■進化論に反対する教育委員会に違法判決(exciteニュース)*1 米国の裁判官は、合衆国憲法に違反してい…

教科書用ステッカーいろいろ

アメリカ合衆国では、進化論教育に関して議論がある。今度は「教科書に但し書きをつけろ」とのこと。■生物の教科書に進化論を疑う但し書き、保護者が提訴(Wired News) コッブ郡の教育委員会は2002年、数百人の保護者――その多くは宗教的保守派に属する――か…

血縁淘汰説の父

■虫を愛し、虫に愛された人―理論生物学者ウィリアム・ハミルトン 人と思索(長谷川真理子 編) ダーウィン進化論は科学的に正しい仮説として科学者集団に受け入れられているが、創造論者の宣伝やトンデモ本の影響なのか、「神による創造」を認めることはしな…

ブッシュの進化論

■ブッシュの進化論(マッド・アマノの「今週のパロディ」)ブッシュはキリスト教右派、つまりアメリカ合衆国で「進化論を教育から追放しろ!」とか言っている人たちの支持を受けているのだ。最初は、そうした観点からのパロディかとも思ったけど、全然違った…

進化と創造主義特集号

■生物科学Volume 56,No.1。買っちゃった。昨年の12月に、アメリカの公教育における進化論教育について考える研究会が行われたのだが(参考)、そのときのEugenie C. Scott(ユージニー・C・スコット)博士による講演の翻訳が読める。ある程度の知識がある人…

進化の証明 ダーウィンは間違っていたか?

■ナショナル ジオグラフィック 日本版 11月号 [雑誌]。買っちゃった。「ダーウィンは間違っていたか?」という問いの答えはもちろんNoだ。「いや、ダーウィンが唱えた生物の進化を裏付ける事実は次々に見つかっている。」この雑誌のウリは写真だろう。ハダカ…

ウィスコンシン州でも

acanthopanaxさんがコメント欄で教えてくれました。タイムリー。 ■「創造説」の授業許可し議論噴出、米ウィスコンシン州 ウィスコンシンの州法では進化論を教えることが必須だが、カリキュラムの内容は各区の教育委員会が独自に決めることが出来る。そのため…

アメリカ合衆国での進化論論争の現状

ブッシュが勝ったりケリーが負けたりしている今日この頃、アメリカ合衆国の進化論教育はどうなっているのだろう。以下の記事は紹介する価値があると考える。*1■カンザス州教委で進化論論争が再燃している 今、カンザス州では公立学校で、進化論の学習を薄め…

限定された形での群淘汰

植物プランクトンは、自分たちの必要に合わせて天候を変えられるというお話。■雲を作って紫外線対策をする植物プランクトン(Wired News) 両博士はバミューダ沖で収集した測定記録を分析し、海水に含まれるジメチルスルホニオプロピオン酸(DMSP)と呼ばれる…

テレビでダーウィンの番組やってた

■超歴史スペクタクル 地球の夢!生命の夢!!ダーウィンの大冒険〜僕たちはみな進化という名の旅をしている〜(TBS)荒俣宏出演/監修。もう1人の出演者の雨宮塔子は誰だか知らない。タイトルからはそこはかとない不安を覚えたが、内容はまあまとも。間違いが…

新種のヒト化石

■新種のヒト化石発見 インドネシアで、身長1メートル(朝日)*1 人類の中で、現代人も含まれる「ホモ属」の新種の化石が、インドネシアのフローレス島で見つかった。身長約1メートルと小型で、脳容積も、はるかに原始的な猿人より小さい。孤島に生息する動…

地球教徒=創造科学な人たちだな

ドーキンス派とは何か?「リチャード・ドーキンスと、その他大勢」 グールド派とは何か?「スティーブン・J・グールドと、その他少し」ってのを思いついた。

「ダーウィン・ウォーズ―遺伝子はいかにして利己的な神となったか」

アンドリュー・ブラウン著、長野敬+赤松真紀訳、原著は1999年、訳本は2001年。ステルレルニーがNHKの野球解説者だとすれば、ブラウンはお昼のワイドショーの司会者か(ただし、この司会者はきわめて知的である)。この本は(私から見れば)どちらかというと…

「ドーキンス VS グールド」

キム・ステルレルニー著、狩野秀之訳、原著は2001年(ちなみにグールドが亡くなったのが2002年)。タイトルがあまりにもそのまんまなので、商売目的で書かれたものかもと思ったけど、ちゃんとした本でした。著者のステルレルニー(Kim Sterelny)は、カバーの…

生物の進化を1000スレで表すと

地球の歴史をカレンダーで表すってのはよくある。「人類の誕生は12月31日の夕方になってからなのです」という類の説明を諸君らも聞いたことがあるだろう。距離にたとえる方法、たとえば、両手を横にいっぱいに広げて、「人類の生きている期間はこの爪の先ほ…

進化論を信仰の光に照らして分析

私は4年くらい前から、進化論と創造論というサイトをやっている。日本でこそ、非宗教的な進化論否定が多いのだが、それでも元ネタをたどっていくと、たいていの場合聖書を信仰するグループにいきつく。聖書を文字通りに解釈すると、進化などウソッパチで創…