NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

進化論

「近親婚タブー」は血縁淘汰説を否定するか?

「自分の皮膚細胞から卵子と精子を作り、それを受精させて、もう一人の「若々しい別な自分」(クローン)を誕生させることも、理論的には可能になる」と書いちゃったダイアモンド・オンラインの安藤茂彌氏による記事に、以下のようなブックマークコメントが…

進化に関係する本3冊

みんなが知りたい化石の疑問50 ■みんなが知りたい化石の疑問50 北村雄一(著) 2011年初版。著者の北村雄一は、カバーによれば、「フリージャーナリスト兼イラストレーター」と紹介されている。おそらくは中学生〜高校生向けに書かれたのだろう。文章は平易で…

「進化の存在証明」

ドーキンスの新刊の進化の存在証明を読み終えた。垂水雄二訳。巻頭に30ページ以上のカラー口絵がついている。本屋で見かけたら、口絵の部分だけでもざっと見るべき。私のお勧めは、シファカ(マダガスカルのサル)のダンス。 [f:id:NATROM:20100104160900j:i…

ヒトの出生性比はコントロールされているか?

妊娠前に栄養状態が良い母親からは男の子が生まれやすいというネタをやろうと思っていたが、stochinaiさん@5号館のつぶやきに先を越されてしまった。 ■ヒトの性比が妊娠前の女性の栄養状態で変わる(5号館のつぶやき) イギリスの750人の初産の妊婦さんを…

何がシロアリの真社会性を進化させたのか?

シロアリの遺伝的カースト決定のエントリーを書くためにいろいろ調べ物をした。その過程で「シロアリはなぜ真社会性を進化させたのか?」という疑問に対して、納得のいく答えを得たような気がするので忘れないうちに書いておく。まず、真社会性とは何か、か…

「利己的遺伝子説@南堂久史」

■利己的遺伝子と男の浮気に対して南堂さんから反論があった。南堂氏がこのエントリーに反論するのであれば、是非、誰がそのような主張をしているのか、具体的な引用とともにご教示いただきたいと書いておいたのだが、もちろんのこと具体的な引用はされていな…

利己的遺伝子と男の浮気

利己的遺伝子説の批判者は、こう誤解することが多い。 ■ドーキンス説の問題*1 利己的遺伝子説を信じる進化論学者は、こう主張することが多い。 「男はみんな浮気をするのが当然だ。そうすればたくさんの遺伝子を残せて有利だからだ」 こう主張するとき、彼ら…

進化論は間違っていたんだよ!

な・・・・なんだってー!!(AA略) ■進化論は間違っていた!?(livedoorニュース) 「実はダーウィンの進化論を生命の進化の常識として信じきっているのは日本人くらいなのです。ダーウィンの進化論は聖書が語るすべてを否定することで、すなわち神の存在を…

網 vs. 自然選択

漁業資源の保護の方法の一つとして、網の目の大きさの規制がある。適切な網目の大きさを設定すれば、網からすり抜けた小さな個体がいずれ成長して資源は保たれる。しかし、進化論を考慮すると、漁業資源管理の上で問題が生じうるらしい。生存競争の点から、…

低学歴ほどダーウィン進化論を信じない

■米国人が信じるのは「進化論」より「悪魔」(ロイター)というニュース。「地獄や悪魔を信じる人は62%」に対し、「ダーウィンの進化論を信じていると答えたのは全体の42%」という結果だったため、かような見出しになっている。以前の調査と比較しても…

池田信夫氏からの反論

池田信夫氏は進化生物学を理解していない、という指摘に対して、池田信夫氏からの反論があった。同じパターンのナンセンスな話が繰り返されることになりそうな予感。 ■利他的な遺伝子(池田信夫 blog) これだけ読んでも、彼が自称する「生物学の専門家」で…

種を守る「利他的な遺伝子」

自分のよく知らない分野(たとえば私にとっては経済学)について二者が議論しているとして、どちらの言い分が正しそうなのか判別する簡易的な手段はあるだろうか。私がよくやるのが、自分がよく知っている分野(たとえば私にとっては医学、遺伝学、進化生物…

ID論について分かりやすく解説します。

いまさらですが、ID(インテリジェント・デザイン)論について分かりやすく解説します。 ID論って危ないんじゃないの? なんで?危なくないよ だって科学なの? もちろん科学だよ なんで?だってデザイナーって神様のことなんでしょ? 違うよ。全然違うよ。 …

半数の国民「人類は神が創造した」と考える

■米国:半数の国民「人類は神が創造した」と考える*1(毎日新聞) 米国人の半数近くは神が人類を創造したと考えている−−。米誌ニューズウィークは3月31日、人類の進化に関する米国人の考え方についての世論調査結果を発表した。 それによると、神が人類を…

FSMの教典

■反・進化論講座―空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書(ボビー・ヘンダーソン 著, 片岡夏実 翻訳 )見つけたときは、「ああ、またトンデモ本か…」と思い、ネタにするために手にとってみたところ、なんか裏表紙に見覚えのある「モンスター」の絵が。サブ…

祖先の物語

ふー、やっと読み終えた。ドーキンスの新刊。 上下巻で900ページ超。読み応えありまくり。しかも高い。素人にはお勧めできない。内容は、タイトルにもあるように、ヒトの(そして他のあらゆる生物の)祖先の話。だったら、これまでも似たような語はある。た…

ドーキンスをシュウセイスル系

■ドーキンスはマチガッテイル系の続き。南堂氏は、私による具体的な批判には一切反論できず、その代わり「[ドーキンス説を] 批判をしているのではなくて、拡張をしている*1」というコメントをした。「トンデモ」とまで言っておいて「批判はしていない」とい…

ドーキンスはマチガッテイル系

トンデモさんがターゲットにするのは確立された学説である。多くの科学者が信じている学説を否定することが、トンデモさんのアイデンティティだからだ。有名どころでは、アインシュタインによる相対性理論。「相対性理論は間違っていた!」と主張する人は山…

愛国心の遺伝子

教育基本法を改正して、子供たちに愛国心を身につけさせたい人たちの中に、ドーキンスもびっくりの主張をしている人がいたよ。 ■「今こそ教育基本法の改正を!」 緊急集会を開催の中の、「愛国心―国家的に物事を考えること」 岡崎久彦(博報堂岡崎研究所所長…

ダーウィン進化論の終焉

進化論ってのは、昔っから学会で公式に否定されたり、崩壊したり、死亡診断書が書かれたりしている。現在の進化生物学の発展ぶりを見ると、実は誤診で脳死に到っていなかったのかもしれない。さて、いろいろと大変な進化論だが、今度は終焉したらしい。世界…

利己的な遺伝子

■利己的な遺伝子 リチャード・ドーキンス (著), 日高 敏隆 (訳)30周年ということで、序文やらなんやら諸々ついて新装版が発売された。愛蔵版とかいって昔の漫画を再出版するのと同じ手法であるな。マニアでないなら第二版を持っている人は買う必要まったくな…

生物=生存機械論

大学生の頃は、勉強さえしていれば他の時間は何でも好きな事をして過ごせるという、まことに幸せな時代であった。時間はいくらでもあったので、かたっぱしから本を読んでいた。その本に出会ったときのことは今でも覚えている。読むべき本はないかと古本屋の…

彼、けものども、鳥ども、魚どもと語りき

■ソロモンの指環―動物行動学入門 コンラート ローレンツ (著), 日高 敏隆 (訳) 旧約聖書の述べるところにしたがえば、ソロモン王はけものや鳥や魚や地を這うものどもと語ったという。そんなことは私にだってできる。ただこの古代の王様のように、ありとあら…

謎はすべて解けた!

日本でもっとも昔からある創造論系のサイトの一つが、創造説再評価HPだ。私が進化論と創造論のサイトをつくったきっかけの一つが、ヤフー掲示板での長谷川寿紀さん@創造論再評価HPとの議論だった。あれからもう6年も経つのだなあ。最近の流行りはインテリ…

ヒトは特別か

進化論を否定する動機の一つに、ヒトという種を特別視したいというものがある。なにせ、創世記によれば、神は人を自分に似せて造り、すべての生き物を人に支配させた、とある。我々人間は他の生物とは違うのだ、神からすべての生き物を支配する権限を与えら…

マラケシュの贋化石

■マラケシュの贋化石 スティーヴン・ジェイ グールド (著), 渡辺 政隆 (訳)グールドの新刊。といっても去年の11月出版だけど。いつもどおりのスタイルのエッセイ集。話がくどくて読むのに時間がかかるが、それもグールドの味。「マラケシュ」とはモロッコの…

いのちのたび博物館

毎年行っているのだが、北九州市自然史・歴史博物館へ。常設展示も生物進化、特に恐竜関係が充実しているのだが、3月まで特別展として恐竜博をやっているのが目当て。いつもはそれほど混んではおらず、ゆったり見ることができるのだが、今日はなんと行列がで…

性比の科学

■雄と雌の数をめぐる不思議 中公文庫 長谷川眞理子(著)例の理系保守とのやり取りで必要になって引っ張り出して、久しぶりに読んでみた。山形浩生は、長谷川眞理子を「生真面目で正確で好感は持てるものの、優等生的で面白みに欠ける説明」と評していた*1けど…

ぶっちゃけちゃった宗教指導者

最近話題のインテリジェント・デザイン(ID)説のニュース。京大名誉教授の渡辺久義先生によれば、「ID理論家はあくまで科学的実証から出発する」「キリスト教右派だとか宗教勢力の画策などというのは、そういうふうに見たがる人の言うこと」なんだそうで…

少子化を遺伝子によって説明する

ある学説について、よくある誤りを検討することによって、その学説についての理解は深まるだろう。たとえば、特殊相対性理論について、双子のパラドックスを検討すれば、理解は深まる。進化生物学について誤りの宝庫のブログは、進化生物学について理解を深…