NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

科学

米の検定は脚気死亡数に影響せず

どんどんブクマ数が減っていくが、ついて来れない奴は置いていく!さて、■衝心脚気の原因はカビ毒か?で紹介した辰野/浦口の主張について、まず目に付く問題点は、通常の脚気と衝心脚気の混同である。医学的な定説に立てば、両者は病因を同じくする連続した…

衝心脚気の原因はカビ毒か?

クリスマスおめでとう!さっそく脚気の話をするよ。脚気がカビ毒(マイコトキシン)に関係するとする説もいろいろであり、「カビ毒は衝心脚気様症状を起こす」という脚気とビタミン欠乏の関係を否定しないものから、「脚気の原因はビタミンB1欠乏ではなくカ…

長門で学ぶビタミンB1発見史

■やる夫で学ぶ脚気論争では、高木兼寛と森林太郎の論争を通じて、食事の改善が脚気を予防しうることを学んだ。しかし、蛋白質不足/炭水化物過剰が脚気の原因であるとする高木の仮説は、現在の知識から考えると不正確である。定説の脚気ビタミンB1欠乏説の成…

やる夫で学ぶ脚気論争

脚気は米を主食とする日本や東南アジアに多発した病気で、定説ではビタミンB1の欠乏が原因とされる。ところがカビ毒が原因であるという異説もあり、調べ始めたらこれが面白い。そのうちブログに書くが、とりあえずは定説の成り立ちを理解していないと面白さ…

偽科学発見テスト〜腸内造血説より

■偽科学発見テスト(finalventの日記)において、Wikipediaの脚気の項目に偽科学的な説明が含まれている可能性が高いと指摘されている。正直、私はWikipediaの記述のどこに問題があるのか分からず、finalventさんの回答を心待ちにしている。finalventさんの…

ドラゴン曲線をプログラムの知識なしで書く方法(動画付き)

私が初めてドラゴン曲線を見たのは、マイケル・クライトンの■ジュラシック・パークだった。 マイクル・クライトン著、「ジュラシック・パーク(上)」、早川文庫より引用 一見したところカクカクした線の集合に過ぎず、何が特別なのかよく分からないだろう。…

「所さんの目がテン!」で血液型を科学してた

「mixiのもういいよ血液型」コミュ*1経由で、「所さんの目がテン!」が血液型を扱うという情報を手に入れた。事前の情報ではちょっと不安が漂う。 ■はやく知りたい!次回の目がテン! “病気に強い血液型発見(仮)” (2008年10月19日放送予定)*2 (魚拓) 最…

素数ゼミの秘密

■17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る! (サイエンス・アイ新書 72) 吉村仁(著)。 素数ゼミとは、北アメリカ大陸において13年もしくは17年ごとに大発生するセミである。素数ゼミナールのことではない。なぜ周期が素数なのか?以前どこかで、寄生虫との…

ニセ科学を見抜く練習問題(「バイオラバー」応援サイトから)

突然ですがここでクイズです。バイオラバーは山本化学工業株式会社が開発した特殊なラバーで、「人体が持つ波長にもっとも近いバイオウェーブを出し、その共振効果によって、健康づくりや医療分野などで活躍」しているそうです。以下に引用する臨床実験で、…

血液型と食べ物の相性

ZAKZAKが藤田紘一郎による「食べ物も血液型別に相性がある」という話を取り上げている。 ■食べ物にもあった!?血液型相性…合わないと体に負担(ZAKZAK)*1 「人類の最初はO型で狩猟民族だった。だが、その後、農耕民族の一部からA型が生まれ、遊牧民族の…

韓国人と九州人の遺伝子が七十%も一致するという件について

九州大学韓国研究センター客員教授の朴珍道教授の発言。 ■外国からみえた方々による九州大学訪問記(強調は引用者による) 福岡は自転車さえあれば大体三十分で市内のどこへでも行けるのでとても幸せです。しかも九州の人々には何となく親しみを感じます。以…

コンドームテスト用セックスシミュレーションデバイス

Nature誌2008年5月15日号の"A side-splitting tale."という記事((Nature. 2008 May 15;453(7193):267., A side-splitting tale. Petherick A.))より。コンドームの破損というのは大体1%ぐらいの頻度で起こるそうである。むろん、製品は強度テストを行ってい…

DNA鑑定簡易キットの記事

■実の父親が分かるDNA鑑定簡易キット、米で発売(AFP) 鑑定方法はキットに含まれている綿棒で唾液(だえき)を採取し、アイデンティジーンの試験所へ送るだけ。結果は3-5営業日後に郵送、Eメールで受け取れる。セキュリティ保護されたウェブサイトでも確認…

日本における「寝取られ男」の割合は?

最近、■夫の10%は妻を寝取られている──危険日の女性が露出度高いのなんでだろう(愛と哲学の自分探し(生きる意味は結婚?)セックスサイエンスと人生論が結ばれる哲学初体験)という記事が100個越えるブックマークを集めた。内容は、タイトルから予想さ…

千島学説と火星の運河

幻影随想の黒影さんが「千島氏は、火星に運河を見たローウェルと同類な模様」と指摘されていた*1。同じようなバックボーンで見たら、やっぱり似たような感想になるよなあと思った*2。パーシヴァル・ローウェルはまともな天文学者で、天文台の建設や冥王星の…

モルモット科学者

■自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝(レスリー・デンディ著, メル・ボーリング著, 梶山あゆみ訳)。原題は"Guinesa Pig Scientists"=モルモット科学者。タイトルで想像される通りの内容。自分の体を使って実験した科学者たちのエピソードが10章収録…

シロアリの階級決定に影響する遺伝子の論文を読んでみた(下)

前回の続き。ニンフ繁殖虫とワーカー繁殖虫の交配実験において表現型が整数比をとることは、1遺伝子座2対立遺伝子モデルによって説明できる*1。カースト決定に寄与する遺伝子座をwkとし、遺伝子座wkにはwkA、wkBという2つの対立遺伝子があるとする。考えられ…

シロアリの階級決定に影響する遺伝子の論文を読んでみた(上)

昨年、新聞等でシロアリのカーストを決める遺伝子が発見されたと報道された。結構、私にとってはびっくりするような発見であり、ブログでネタにした(■シロアリの階級を決める遺伝子)。働きアリになる対立遺伝子なんてものがあったとしても、あっという間に…

50年前の「生物と無生物の間」

ベストセラーの■生物と無生物のあいだ(福岡伸一 著)を読んでみた。前半は著者の留学体験を通して生物学の発展をわかりやすく解説し、後半は「生命とは動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)にある流れである」という生命観を論じている。著者の福岡…

ニセ科学批判者は科学を絶対視しているか?

ニセ科学批判批判をされているmercaさんの新しいエントリー。 ■ニセ科学批判の意味空間(社会学玄論)*1 ニセ科学は、やはり科学が唯一絶対的な正しい真理であるという暗黙の前提に支えられているような気がする。そして、ニセ科学批判も、科学の立場からな…

中の人などいない!

■変な学術研究 1 (ハヤカワ文庫) エドゥアール・ロネ (著), 柴田 淑子 (訳) 妻が買ってきた。「ハトによるモネとピカソの絵画の鑑別」「1998年サッカー・ワールドカップ大会でフランスが優勝した日における、フランス人男性の心筋梗塞による死亡率の減少」…

シロアリの階級を決める遺伝子

シロアリのカーストを決める遺伝子が発見されたんだと。 ■シロアリ:遺伝子が階級決定(毎日新聞) 集団を形成して巣を作るシロアリには「働きアリ」や「女王アリ」など役割に応じた階級がある。こうした階級を決める遺伝子が存在することを茨城大などの国際…

神と科学は共存できるか?

宗教家と無神論者を4タイプに区別したこういうジョークがある。 ■信仰心と無神論の計算の違い(らばQ)。(原文:■Today's Math Lesson (The Primate Diaries)) ●原理主義宗教家 2+2=5だと信じている。その理由はそのように書かれているから。 税金…

群衆の数を推定する

「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の参加者数が議論になっている。朝日新聞では「11万人」*1。産経新聞は「4万人強」*2。よく聞く話だよな。この手の話を書いた本がたしか本棚にあったはず。 ■統計はこうしてウソをつく ジョエル・ベスト(著), 林 大 (…

ファインマンさんの手紙

■ファインマンの手紙 リチャード・ファインマン(著), ミッシェル・ファインマン(編集), 渡会圭子(訳)高校生のころ、私はご冗談でしょう、ファインマンさんから多大な影響を受けた。物理学者。ノーベル賞受賞者。それ以上に、科学を愛することを教える教師で…

ビッグバン宇宙論

■ビッグバン宇宙論 (上) ■ビッグバン宇宙論 (下) サイモン・シン著、青木薫訳の組み合わせ。■フェルマーの最終定理、■暗号解読のいずれも面白く、読む価値があった。本書も2006年6月に日本語版が出てすぐに買ったが、積読になっていたのをいまごろ読了した。…

ジュラ紀に新人の骨

TOSS関係の小ネタ。地球上の生物が遺伝子を共有していることを教えるのはかまわないが、それ以外にも驚愕の事実をも教えている。 ■遺伝子の授業(解説つき) 発問4 あなたの遺伝子は人間として何年くらい受け継がれてきたと思いますか。 数百年から1億数千…

遺伝子からみた「いじめ」の意味

みんながだいすきなTOSSランドより、ゆうめいな村上和雄さんのはなしをしょうかいするよ。 ■遺伝子からみた「差別・いじめ」の意味(TOSSインターネットランド) 村上先生は次のような話もされました。ある実験のため、ねずみをいじめたのだそうです。い…

非対称の起源

■非対称の起源(ブルーバックス) C. マクマナス(著)、大貫昌子(訳)ネットで評判の本はアマゾンで買っちゃうが、店頭で手にとって本を買う習慣もまだある。なかなか読書の時間がとれなくて積んでるだけの本も多くあるのだが、「この機会を逃すと二度と読…

kikulogにABO FANさん出現

「まん延するニセ科学」の菊池誠さんとこのコメント欄が熱い。 ■血液型と性格(kikulog) 2006年9月のエントリーだったのだけれども、今年(2007年)の5月になってABO FANさんが突入。きくちさんの辛抱強い対応に注目。ABO FANさんを説得するのは不可能である…