NATROMのブログ

ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します。

『健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方』

■健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方 朽木 誠一郎 (著) 私は「WELQ問題」にぜんぜん気づいていなかった。WELQ問題とは、「一部上場企業のディー・エヌ・エーが、グーグルなどの検索エンジンを攻略し、ウソや不正確な情報を…

因果推論の考え方を学ぶ。『「原因と結果」の経済学』

■「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法 中室牧子 (著), 津川友介 (著) 相関関係があるからといって必ずしも因果関係があるとは限らない*1。テレビを長時間見ている子どもほど学力が低いとしても、テレビの視聴が低い学力の原因とは限らな…

『生態学と化学物質とリスク評価』

■生態学と化学物質とリスク評価 (共立スマートセレクション) 加茂 将史 (著) 生態学と生態リスク評価はだいぶ違うものらしい。本書は基本的にはリスク評価、とくに生態リスク評価の方法の解説であるが、ちょいちょい挟まれる著者の経験が興味深い。著者の加…

食の安全や健康情報の「うんちく話」

■効かない健康食品 危ない自然・天然 (光文社新書) 松永 和紀 (著) 松永和紀さんの新刊。ちなみに和紀は「かずのり」ではなく「わき」と読む。本書のプロフィールによれば、毎日新聞社の記者として10年間働いた後に退職し、科学ジャーナリストとして活動を開…

前の本より読みやすい!『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』

■各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと(メタモル出版)もうすでにご存知の読者もいらっしゃると思いますが、『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』という本が出ました。タイトルの通り、複数の分野の専…

宋美玄先生の本の紹介

■「ニセ医学」に騙されないためにの帯に推薦文を書いていただいた宋美玄先生について、■コメント欄でご質問があった。 ついでに「メタモル出版から本を出したわけ」より「宋美玄先生推薦!」の方が気になったりしています。私の記憶の限りではNATROMさ…

「ニセ医学」本が発売になりました

『■ 「ニセ医学」に騙されないために』が本日発売になりました。すでに、さまざまなご意見、ご感想をいただいています。本当にありがとうございます。見本は出版社からいただきましたが、本屋で売っている現場をまだ見ていません。通勤途中の本屋に一軒だけ…

メタモル出版から本を出したわけ

■「ニセ医学」に騙されないためにを出すにあたって、なぜメタモル出版からなのか、疑問に思われた方もいたようである。もっともな疑問である。 怪しい出版社から執筆依頼メールが来た これまでも「本を書きませんか」というオファーは何度かあった。名前ぐら…

「ニセ医学」についての本を書きました

本を書きました。2014年6月25日が発売予定日です。 ■「ニセ医学」に騙されないために NATROM (著) 内容はこのブログの読者にとっては馴染み深いものです。「抗がん剤は毒にしかならない」「麻薬系の鎮痛剤は体に悪い」「瀉血でデトックスできる」という誤解…

「ためしてガッテン」の健康本の新常識クイズが難しすぎる件

医局に転がってた■ためしてガッテン 健康の新常識事典を何気なく読んでみた。各項目が健康に関する「常識」についての○か×のクイズ形式になっており、次のページに答えと解説が入る。全体的には良い本である。ただ、このクイズがなにげに難しいのだ。たとえ…

「謎解き超科学」(書評)

.style1 { color: #000066; font-weight: bold } ■謎解き超科学 ASIOS (著)著者のASIOSは団体名(「Association for Skeptical Investigation of Supernatural」(超常現象の懐疑的調査のための会)である。実際には本書は複数の著者によって書かれている。…

世界で一番美しい元素図鑑

■世界で一番美しい元素図鑑 セオドア・グレイ (著), 若林文高 (監修), ニック・マン (写真), 武井摩利 (翻訳) 元素コレクターによって書かれた本。元素コレクターというか、元素オタクと言っていい。この本は元素に対する愛にあふれている。著者のセオドア・…

進化に関係する本3冊

みんなが知りたい化石の疑問50 ■みんなが知りたい化石の疑問50 北村雄一(著) 2011年初版。著者の北村雄一は、カバーによれば、「フリージャーナリスト兼イラストレーター」と紹介されている。おそらくは中学生〜高校生向けに書かれたのだろう。文章は平易で…

脳の中の「わたし」

■脳の中の「わたし」坂井克之著, 榎本俊二著。 脳研究者による本。「脳科学」は、一部の脳科学者のために、いささか怪しい分野であるように見えるが、この本は大丈夫だ(と私は判断した)。私は未読であるが、著者の坂井は、「脳トレ」や「ゲーム脳」などの…

食の安全と環境−「気分のエコ」にはだまされない

■食の安全と環境−「気分のエコ」にはだまされない(シリーズ 地球と人間の環境を考える11) 松永和紀の新刊。ちなみに、和紀は、「かずのり」ではなく、「わき」と読む。本書のサブタイトルは『「気分のエコ」にはだまされない』。「気分のエコ」については、…

「代替医療のトリック」

■代替医療のトリック(サイモン・シン著, エツァート・エルンスト著, 青木薫訳)。原題はTrick or Treatment?。著者の一人のサイモン・シンは、サイエンスライターとしてトップクラスであり、暗号解読やフェルマーの最終定理といった著作がある。「代替医療…

「進化の存在証明」

ドーキンスの新刊の進化の存在証明を読み終えた。垂水雄二訳。巻頭に30ページ以上のカラー口絵がついている。本屋で見かけたら、口絵の部分だけでもざっと見るべき。私のお勧めは、シファカ(マダガスカルのサル)のダンス。 [f:id:NATROM:20100104160900j:i…

ナイチンゲールの毒舌

案の定、ナイチンゲールが大人気のようなので、看護覚え書―看護であること・看護でないこと」(現代社; 改訂第6版版)から、とくに私が感銘を受けた部分を紹介しよう。看護の本であるからして、看護婦の行動の例がたくさん提示されるのであるが、その多くが…

眼鏡っ娘で物理に強くなる

鈴木みその「マンガ 物理に強くなる」(ブルーバックス 関口知彦・原作)がいい。何がいいって、特に眼鏡っ娘が。 運動方程式の凄さを力説するメガネっ娘。 この、実に楽しそうに運動方程式の解説をする女子高生が教師役。生徒役は、物理で赤点だと補習のため…

等身大の主人公・麻酔科医ハナ

麻酔科医ハナ (1)(アクションコミックス) なかお白亜 (著)。 医師を主人公とした漫画はたくさんあるが、その主人公の多くはスーパードクターか、でなければ青臭い理想論を吐く暇そうな研修医である。医師からは、漫画の中の「名医」に対しては厳しい見方がさ…

医師向けコミック 「がんばれ!猫山先生」

がんばれ!猫山先生 (1) 日本医事新報という医師向けの雑誌に連載されている4コママンガが異様に面白いのだが、このたび単行本になったので即買いした。いわば「内輪ネタ」なので、普通の人が読んで面白いかどうかはわからない。 完全に医師目線 主人公は内科…

素数ゼミの秘密

■17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る! (サイエンス・アイ新書 72) 吉村仁(著)。 素数ゼミとは、北アメリカ大陸において13年もしくは17年ごとに大発生するセミである。素数ゼミナールのことではない。なぜ周期が素数なのか?以前どこかで、寄生虫との…

ファインマンさんと永久機関

最近流行の「ウォーターエネルギーシステム」の話。なんでもジェネパックスという会社が「水から電流を取り出すことを可能にした」のだそうだ。GIGAZINEの■真偽判断に役立つ「ウォーターエネルギーシステム」に対する各報道陣からの質疑応答いろいろ、そして…

モルモット科学者

■自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝(レスリー・デンディ著, メル・ボーリング著, 梶山あゆみ訳)。原題は"Guinesa Pig Scientists"=モルモット科学者。タイトルで想像される通りの内容。自分の体を使って実験した科学者たちのエピソードが10章収録…

50年前の「生物と無生物の間」

ベストセラーの■生物と無生物のあいだ(福岡伸一 著)を読んでみた。前半は著者の留学体験を通して生物学の発展をわかりやすく解説し、後半は「生命とは動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)にある流れである」という生命観を論じている。著者の福岡…

行政学者から見た医療崩壊

■まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生 伊関 友伸 (著) 医療崩壊に関する本としては珍しく、非医療従事者によって書かれた。著者の伊関は2004年3月まで埼玉県に勤務する公務員であり、県立病院課および県立精神医療センターの職員として埼玉県立病院…

ゴキブリをも愛する虫屋

■わっ、ゴキブリだ! 盛口 満 (著) 妻はゴキブリが大嫌いなのに、なぜかこういう本を買う。ゴキブリを駆除する方法が載っている本ならまだわかるのだが、この本はナチュラリストによって書かれたもので、実用的なことは載っていない。著者の盛口満は、他にも…

中の人などいない!

■変な学術研究 1 (ハヤカワ文庫) エドゥアール・ロネ (著), 柴田 淑子 (訳) 妻が買ってきた。「ハトによるモネとピカソの絵画の鑑別」「1998年サッカー・ワールドカップ大会でフランスが優勝した日における、フランス人男性の心筋梗塞による死亡率の減少」…

神と科学は共存できるか?

宗教家と無神論者を4タイプに区別したこういうジョークがある。 ■信仰心と無神論の計算の違い(らばQ)。(原文:■Today's Math Lesson (The Primate Diaries)) ●原理主義宗教家 2+2=5だと信じている。その理由はそのように書かれているから。 税金…

勤務医の主張

■医療の限界 ■誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実 勤務医による、医療崩壊を論じた本。内容は概ね医療関係のブログで言われているようなことなので、普段からそうしたブログを読んでいる人はわざわざ買って読む必要はない。匿名でない情…